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オーシャンズ8


2018年  アメリカ  110分

監督
ゲイリー・ロス

出演
サンドラ・ブロック
ケイト・ブランシェット
ヘレナ・ボナム=カーター
アン・ハサウェイ、リアーナ
オークワフィナ
リチャード・アーミティッジ

   Story
 『オーシャンズ』シリーズの女性版のちょっとおしゃれな泥棒映画。 ゲストが華麗なファッションを競うメトロポリタン美術館の大パーティ “メットガラ” を舞台に、女性8人の犯罪チームが繰り広げる宝石窃盗作戦を描く。

 かつて “オーシャンズ11” を率いたダニー・オーシャンの妹デビー(サンドラ・ブロック)が5年の刑期を終え、 仮出所する。

 刑期中に練り練った大計画の実行のために、デビーはかつての相棒ルー(ケイト・ブランシェット)に相談を持ちかける。

 それはメトロポリタン美術館で行われるファッションの祭典 “メットガラ” でハリウッド女優に1億5000万ドルのネックレスを着けさせ、 それを偽物とすり替えるというもの。

 デビーは、落ち目のファッション・デザイナー、ローズ(ヘレナ・ボナム=カーター)に人気女優のダフネ(アン・ハサウェイ)を引っ張り出させ、 さらにハッカー(リアーナ)、スリ(オークワフィナ)、盗品ディーラーに宝飾職人、と各分野のエキスパートを集めてチームを結成する。


   Review
 “メットガラ” ってなに・・・? ファッション・ショー? と思ったら、ゴージャスな人々が集まって飲んだりおしゃべりしたり、要は大パーティらしい。
 おまけに会場はあのメトロポリタン美術館とくる。美術館でパーティ? とますます「?」の私だけど、 女優が着けている超豪華なネックレスの窃盗作戦というツボさえ押さえていればOK、なかなか楽しかった。

 まず冒頭がいい。仮釈放の面談で、もう犯罪者とは接触しません、まじめに暮らします、なんてしおらしい顔のデビー、 でも派手な化粧と衣装の出所姿を見れば、真っ赤な嘘とすぐ分かる。

 高級デパートに入ると高級香水・化粧品をどっさり手にしてレジへ。「返品したいんだけど」と澄ましていう。 「レシートがないとお引き取りできません」と店員。何度か押し問答した後、「もういいわ、返品は止め。紙バッグ 頂戴」とデパートの紙袋に盗品を入れて悠々と店を出る。

 なるほどねぇ、こういう手があったか・・・。お見事!

 次がプラザホテルだ。ロビーで客の出入りを観察、 チェックアウトしたばかりの客の名を騙ってフロントに電話し、「フライトに間に合わなかった」といってその客の部屋に入り込む。

 この一連の流れで、デビーのスマートなだましと盗みのテクニックがすんなり了解、彼女が繰り広げるネックレス窃盗作戦に大いに期待が湧いてくる。

 “メットガラ” でカルティエ秘蔵のダイヤのネックレスをハリウッド女優に付けさせ、それを模造品とすり替えて盗み出す、 というのがデビーがム所暮らしの5年間に練り上げた作戦だ。
 そのために異なる特技を持つ犯罪エキスパートに声をかけ仲間にしていくわけだけど、面白いのは凄腕のスリ、コンスタンツだ。

 ハグでもしようものなら、あっという間に腕時計が彼女のポケットに滑り込む。ほらほら、とデビーが取り返してやってる間に、もう違う人の腕時計が・・・。 油断も隙もありゃしない。

 天才ハッカーのナインボールも面白い。ファッション・デザイナーのローズがカルティエに乗り込んで、特殊眼鏡でネックレスをしげしげ眺める。 眼鏡からスキャン映像がコンピューターに送られ、3Dコピーされる。
 会場にくまなく設置された監視カメラの向きが巧みに操作され、トイレ近くに (これが要め) 死角を作りだす。これらを難なくこなすのがナインボールなのだ。


 デビーを演じるサンドラ・ブロックのちょっととぼけた味わい、そしてなにより相棒ルー役のケイト・ブランシェットのカッコよさに脱帽だ。
 ブランシェットって役柄によってガラッとイメージの変わる人だけど (どぎついほどケバクなったり、神秘的な透明感を漂わせたり、クールな知性をまとったり)、 本作ではバイクを駆使して疾走する孤高の犯罪プロフェッショナルだ。

 ほかにも頭の悪そうなグラマー女優(じつは隅に置けない利口な人というのが終盤に分かります)役のアン・ハサウェイ、 借金を抱えた落ち目のファッション・デザイナー役にヘレナ・ボナム=カーター、とメイン・キャストは『オーシャンズ』シリーズらしい豪華さだ。

 微妙にハラハラさせつつも盗みは見事成功。デビーは自分を裏切ったかつての恋人(リチャード・アーミティッジ)に仕返しまでして、 警備員が右往左往している間に美術館に展示されたほかの宝石もちゃっかり頂戴する。

 「うまく行き過ぎ」なんて堅いことは言いっこなし、肩の力を抜いて楽しみたい作品だ。
  【◎△×】6

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