HOME50音表午後の映画室 TOP




踊る大紐育(ニューヨーク)


1949年  アメリカ  98分

監督
ジーン・ケリー
スタンリー・ドーネン

出演
ジーン・ケリー
フランク・シナトラ
ジュールス・マンシン
ヴェラ=エレン
アン・ミラー
ベティ・ギャレット
アリス・ピアース

   Story
 3人の水兵が1日の休暇をニューヨークで過ごすうちに、それぞれがガールフレンドを見つけるまでを描いたMGM ミュージカル。

 ゲイビー(ジーン・ケリー)、チップ(フランク・シナトラ)、オジー(ジュールス・マンシン)の水兵3人組は、 24時間の休暇をもらうとニューヨーク見物に出かける。

 ゲイビーはポスターの “ミス地下鉄” アイヴィ(ヴェラ=エレン)に一目惚れ。気のいい仲間は彼のためにアイヴィ探しを始める。

 手分けして探すうちに、チップはタクシー運転手のヒルディ(ベティ・ギャレット)、オジーは考古学者のクレア(アン・ミラ-)とカップルになる。
 そうこうしているうちにやっとアイヴィが見つかってゲイビーは有頂天。ところがそれも束の間、彼女は姿を消してしまい・・・。


   Review
 タイトルは聞いたことがある、ミュージカルらしい、その程度の知識で鑑賞。他愛のないストーリーで、踊りも今一つ、かな?
 映像もストーリーも演出も凝って洗練された今の映画を見慣れた目にはやや物足りないけど、MGMミュージカル最盛期の無邪気な楽しさが溢れていて、 人々がスクリーンに夢と笑いを見た古き良き時代を彷彿としたりもする。

 まず序盤、水兵3人組が大都会ニューヨークの喧騒に大興奮、地下鉄の車内で見た “ミス地下鉄” アイヴィのポスターにゲイビーが一目惚れする。
 ここで “ミス地下鉄” っでこんな人、という紹介シーンになる。これがなかなか楽しい。

 “ミス地下鉄” は家庭的 ~ せっせとアイロンがけするアイヴィ、
 パーティだって大好き ~ ゴージャスなドレスに変身し、タキシードの紳士と優雅にダンス、


 そして凄いアスリート ~ ハードルを跳ぶ障害物走に、スコーンと相手を倒すボクシング、ラグビーに背負い投げの柔道、 と演じるヴェラ=エレンの溌剌笑顔にクスリとする。

 アイヴィを探してみんなで出かけた博物館では、ピテカントロプス・エレクトスの模型を考古学者のクレアが熱心に研究中。 ピテカントロプスにそっくりのオジーにクレアはキャッと歓声を上げ、写真を撮るやらサイズを測るやら。オジーも調子に乗ってポーズを作る。

 ドタバタ喜劇が続き、さらに笑ってしまうのがタクシーの運転手ヒルディのアパートの出来事だ。
 ヒルディは客のチップにぞっこんで、すぐ「家に来ない?」と誘う。さすがのチップもタジタジだ。

 それでもやっと彼女のアパートでソファで抱き合ってキス、という段取りになったら、隣の部屋でスーハースーハー変な音がする。 鼻風邪になったルームメイトのルーシー(アリス・ピアース)が吸入器を使っているのだ。

 部屋から出てきたルーシー、2人の前に座り込んでスーハー。キスの続きができないでしょ、不粋ったらありゃし ない。挙句に、ピー、ブヒー! 凄い音で鼻をかむ。
 演じるアリス・ピアースの独壇場、笑いが止まらない。

 女優陣のパワーに水兵3人組も負けていられない。 アイヴィが踊り子をしているコニー・アイランドの舞台で、3人が妙な衣装を着て腰振りダンスをするのにも大笑い。

 アイヴィ探しで自分のタクシーを乗り回して、車を盗んだと思われたヒルディ、博物館で恐竜の模型を壊したピテカントロプス似の男(オジーのことです)、 2人を追う警官6人があわやの衝突・・・。

 そんなこんなで楽しくはあるけれど、本格的なダンスが少ないのはやっぱり寂しい。
 そんな思いを解消してくれるのが終盤のジーン・ケリーとヴェラ=エレンのデュエットだ。

 照明を落とした黒いバックにぽっかり浮かび上がる深紅の円、そこに2人のシルエットが優雅に揺れる。 実像の2人を見たり、後ろのシルエットの2人を見たり、幻想的な映像にうっとり、目が離せない。

 賑やかな一日が終わり、翌朝3人の水兵は帰営し、新たに休暇の1日を過ごす水兵たちが船から降りてくる。お茶漬けのようなあっさりした味が楽しかった。
  【◎△×】6

▲「上に戻る」



inserted by FC2 system