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300 <スリーハンドレッド>
〜帝国の進撃〜



2014年  アメリカ  103分

監督
ノーム・ムーロ

出演
サリヴァン・ステイプルトン
エヴァ・グリーン
レナ・ヘディ
ハンス・マシソン
ロドリゴ・サントロ

   Story
 フランク・ミラーの人気グラフィック・ノベルを実写化した『300 <スリーハンドレッド>』の続編。 ペルシア帝国対ギリシャ連合の壮絶な戦いを、海を舞台に描く歴史スペクタクル・アクション。

 紀元前480年、ギリシャ・スパルタのレオニダス王が300人の精鋭で100万人のペルシア帝国軍と戦っていた頃・・・。

 アテナイのテミストクレス将軍(サリヴァン・ステイプルトン)もまた、エーゲ海を席巻するペルシア大艦隊を前にギリシャ連合軍を率いて立ち上がる。

 ぺルシア軍を統率する海軍指揮官アルテミシア(エヴァ・グリーン)は両親を殺された過去があり、ギリシャ人でありながら、 ギリシャに対する憎悪で復讐の炎を燃やしていた。


   Review
 『300 <スリーハンドレッド>』が公開された頃、華麗な映像がけっこう話題になった記憶があり、一度見たいと思っていた。

 続編があるとは露知らず、夫とケーブルTVの放映で鑑賞。ところが、映像はまーまー普通だし、リアルタイムで見た夫は記憶のある場面が1つもないという。 第一、ペルシャ軍と戦っているのはテミストクレスが率いるアテナイの兵士たちで、レオニダスと300人のスパルタ兵はちっとも出てこない。

 どうも『300 <スリーハンドレッド>』とは違う映画らしいと気づいたのは、“灼熱の門” で戦っているレオニダスのスパルタ軍に裏切り者が出た、 という報告がテミストクレスにもたらされる終盤近く。

 でも夫がいうには、 タイルのモザイク絵の上にペルシャ兵が剣を振りかざして覆いかぶさるオープニング・タイトルシーンは、『300 <スリーハンドレッド>』と同じだという。

 そんなこんなで、本作はスパルタ軍と並行して戦われていたアテナイ軍の戦闘を描いたサイドストーリー的なものじゃないだろうか、 ということは、『300 <スリーハンドレッド>』の続編かもしれない、と2人でディスカッション(笑)。
 どうやらやっと真相(?)にたどり着くという、ちょっとおかしな体験だった。

 勘違いしていたとはいえ、ストーリーはシンプルなのでとくに困ることはなく、それなりに面白かった。

 戦闘場面の肉弾相い撃つ迫力が凄い。バサリバサリと大鉈を振るうように肉体が断ち割られて、血しぶきが飛ぶ。 粘るような血糊がスローモーションでブワァ〜ッと広がる。
 ご丁寧にも、といいたくなるほど、毎回律義にこれをやる。

 テミストクレスが「自由のために」とか「正義のために」と理想論を並べるのが、ちょっと白けるところかな。 アメリカ映画って、ジャンルに関係なく、この手の正論をスピーチするパターンが好きだな、とよく思う。

 それと、彼の作戦がビジュアルとして (おぉ〜〜! と感嘆したいのに)、も1つはっきり分かりにくい。
 たとえば、ギリシャの船は小さいから小回りが利いて有利、ペルシャの大船の横腹に突っ込める、という台詞があって、確かにその通りのシーンがあるのだけど、 思ったほどの迫力がない。

 横腹に突っ込むのはいいけれど、小さなギリシャ船は自分もついでに大破しちゃうんじゃない? と思ったり・・・。

 本作の要は、ペルシャ海軍の女指揮官アルテミシアだろう。
 演じてるのがエヴァ・グリーンとは気づかなかったなぁ・・・。 眼の周りに隈のあるメークのせいか、陰気で、冷酷で、『キングダム・オブ・ヘブン』や『007/カジノ・ロワイヤル』とはまるで印象が違う。

 彼女が現われるだけで、ヒヤーッとした緊張感が画面に漂う。同じような戦闘場面の連続で少々変化の乏しい流れの中で、メリハリをつけているのがアルテミシアだ。

 色仕掛けでテミストクレスに迫るかと思えば、二刀流の鋭い剣さばきで彼を追いつめる。 直接対決ではテミストクレスより強く見えたほどで、彼女が倒れて息絶えた時は、つい寂しい気持ちになってしまった。
  【◎○×】5

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