Story フランスでベストセラーとなったジャン=クロード・フォレストのSFコミックの映画化。 近未来を思わせる惑星を舞台に、バーバレラの繰り広げる冒険談が描かれるが、ふんだんに盛り込まれた セクシーな描写が話題を呼んだ。 宇宙暦・紀元4万年、女性宇宙士バーバレラ(ジェーン・フォンダ)は、強力な宇宙破壊光線を完成させたデュラン・デュランをとらえるために、ある惑星に向う 着陸した彼女は、髭男マーク・ハンド(ウーゴ・トニャッツィ)に、3000フィート地底のソゴに行けばデュラン・デュランの居場所が分かると教えられる。 そこは黒の女王(アニタ・パレンバーグ)に支配される地下王国だった。 バーバレラは天使パイガー(ジョン・フィリップ・ロー)の助けを借りて数々の危機を乗り越えながら、黒幕とおぼしき宰相(ミロ・オシー)に迫る。 Review 公開時、ジェーン・フォンダのセクシー路線、と評判になった映画。 近未来SFというのはなんとなく知っていたけれど、後年のフォンダのイメージとは結びつかなくて、どんな映画なんだろうと思っていた。 ケーブルTVで放映されると分かって興味を起こして見た。 フォンダが扮するバーバレラの宇宙船がなんとも可愛い。まるで赤い木製おもちゃみたいだ。 操縦室 (といっていいのかな?) なんて金持ちの我がままお嬢さまの居室そのまま。 宇宙船といえばメタリックで無機質、そんなイメージから程遠いレトロなのどかさは捨てがたい。 宇宙船はまだまだ序の口。バーバレラが着陸する惑星の地下3000フィートに建設された悪の王国なるソゴも、出てくる道具立てがみんな手作り感一杯で、 おもちゃ箱をひっくり返したみたいだ。 バーバレラがこの地下王国をあちこち動き回る。 ここでも、拷問鳥籠の底がストンと抜けたら反政府軍の秘密基地につながっていたり、 シューッとトンネルみたいなのを滑り落ちたらそこは王国宮殿の中だったり、訳の分からないことばかり。 でも、ここはそういうところ、というような妙な納得感がある。不思議の国のアリスになった気分、とでもいうか・・・。 ストーリーもあちこち「?」だらけ。真面目に突っついたらワルイよね、という気持ちになるほどだけど、原作がコミックと知って、なるほど、と納得した。 べつにコミックをけなしている訳ではありません。本作の、健康なセクシー光線を振りまきながら若い女性が繰り広げる冒険談が、 そのままコミックの絵柄として目に浮かんでくるからだ。 「スーパーマン」「バントマン」「スパイダーマン」とコミックといえばアメリカというイメージがあるせいか、 フランスというところが新鮮だ。ヒット・コミックというのが頷ける。 近未来のセックスは手と手を合わせるだけ。でもこの惑星で、身体を合わせる古い時代のセックスを体験したバーバレラが、これも悪くないと思うところに笑ってしまった。 そんな無邪気な彼女がセックスマシンの拷問を受ける。(といってもパイプオルガンの中に入れられて、デュラン・デュランが必死に演奏するという優雅なものだけど。) ところが彼女、苦しむどころかかえっていい気分になってしまい、デュラン・デュランのほうが音を上げてしまうのが可笑しかった。 ジェーン・フォンダがエロティックでとてもキュート。 長い尾のついた宇宙服を来て、これじゃドアが閉まらないでしょ、と思う間もなくドアに引っかけて、慌ててたぐり寄せたりする仕草が可愛い。 オープニングの無重力ヌードシーンもチャーミングだ。主演女優賞で2度のオスカーを獲得した名優にもこんな若い時代があったなんて、ちょっと微笑ましい。 【◎○△×】6 |