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バーフバリ 王の凱旋


2017年  インド  141分

監督
S・S・ラージャマウリ

出演
プラバース
アヌシュカ・シェッティ
ラムヤ・クリシュナ
ラーナー・ダッグバーティ
サティヤラージ
ナーサル

   Story
 伝説の戦士バーフバリの壮大な物語を描いた『バーフバリ 伝説誕生』の続編となる歴史アクション。 前作に引き続いてプラバースがシヴドゥと、その父である若きバーフバリの2役を演じる。

 インド南部の大国、マヒシュマティ。
 国母シヴァガミ(ラムヤ・クリシュナ)から次の王に指名されたバーフバリ(プラバース)は、奴隷カッタッパ(サティヤラージ)とともに、身分を隠して領内視察の旅に出る。

 そこで出会ったのがクンタラ王国の王女デーヴァセーナ(アヌシュカ・シェッティ)。一目で恋に落ちたバーフバリ。
 一方、王位継承争いに敗れたバラーラデーヴァ(ラーナー・ダッグバーティ)はその父ビッジャラデーヴァ(ナーサル)と邪悪な陰謀を企んでいた・・・。


   Review
 忠臣の鑑(かがみ)のようなカッタッパが、なぜシヴドゥの父アマレンドラ・バーフバリを殺したのか、その興味で見始めた後編、 ストーリーは国母シヴァガミの慈愛と人々の敬愛を一身に集めて、順調に即位への道を歩むバーフバリの姿から始まる。

 シヴァガミは、王としての知見を深めるために、領土内の国々をめぐり見聞を広めるようバーフバリに命じ、彼はカッタッパとともに旅に出る。
 この序盤は、貧者の姿で全国を旅したという弘法大師の伝説じゃないけれど、バーフバリも名もない愚か者に身をやつし、カッタッパは叔父として彼を保護するという役回りだ。 コメディタッチの展開が楽しい。

 クンタラ王国の猪狩りでは、王女デーヴァセーナが射る矢をバーフバリの矢がひそかにことごとく邪魔して、彼女 の従兄弟クマラに花を持たせるのだけど、矢じりと矢じりが頭からぶつかり、ギリギリと食い込んでいく。
 CGで作った映像とはいえ、うっそぉー、と叫びながらも荒唐無稽さに笑ってしまう。

 王宮が賊徒たちに襲われると、俄然、バーフバリは本領発揮。
 空中に飛び上がり、剣を振るい、矢を射って、襲いかかる無数の敵を次々になぎ倒していく。バーフバリらしい活躍にワクワクする。

 中でも、一度に3本の矢を射る技のカッコよさといったら! デーヴァセーナにもその方法を教え、2人並んで大弓を構えるさまは、神話的といっていいほど勇壮かつ優美だ。

 ところで、前編であれほど賢明だった国母シヴァガミが、本作では実の息子バラーラデーヴァと夫ビッジャラデーヴァの陰謀に乗せられて、真実を見誤ってしまう。

 それに火に油を注ぐのがデーヴァセーナだ。彼女、もう絶句してしまうほど気が強い。
 いくら理に適(かな)ったことでも、それを真っ向から主張したのでは、シヴァガミのプライドを逆なでするだけ。 気性の激しい妻と養母の間に挟まって、英雄とはいえバーフバリももう大変〜。ちょっと同情したりして。

 後半、バラーラデーヴァとビッジャラデーヴァの策略が成功し、シヴァガミはバーフバリの排除を決断する。
 とはいえ人望の高い彼のこと、処刑では民衆が反発する。そこでシヴァガミはカッタッパに暗殺を命じる。

 姑息だなぁ〜、シヴァガミ、衰えたり! (とついつい私も糾弾調)。高潔の士とはいえ奴隷の身のカッタッパ、主命 に逆らうことなど出来はしない (と今度は詠嘆調の私・・・)。

 こうして本作でもっとも印象的なカッタッパのバーフバリ刺殺のシーンになる。燃えさかる炎をバックにした映像は、古代叙事詩の絵のように悲壮感があふれ、美しい。

 崩折れるように岩に腰を下ろしたバーフバリは玉座に座った王のよう。その前に膝まづくカッタッパ。 こんなことがあっても主従の信頼が少しも損なわれていないのが感じられて、胸が熱くなる。
 こうして物語は「過去」から「今」にもどり、すべてを知ったシヴドゥは父の復讐のために立ち上がる。

 ここからは大作らしく華々しくも奇想天外な戦闘アクションの連続だ。 中でもヤシの木を投石機代わりに、盾を樽のように丸く連ねた兵士たちが、ビュイ〜ンとバラーラデーヴァの宮殿に飛び込んでいくシーンは、アイデアの奇抜さに驚かされる。

 暴君バラーラデーヴァを倒し、シヴドゥがマヘンドラ・バーフバリとなって王座に着く大団円。
 前編の冒頭、滝壺に身を沈めながら赤子のシヴドゥを守った女性が、真相を知ったシヴァガミであることも判明し、予定調和の結末が楽しかった。
  【◎△×】7

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