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ピノキオ


1940年  アメリカ  85分
<アニメーション>

監督
ベン・シャープスティーン

声の出演
ディッキー・ジョーンズ
クリフ・エドワーズ
クリスチャン・ラブ
イヴリン・ヴェネブル

   Story
 カルロ・コロディの原作をウォルト・ディズニーが長編アニメーションで製作、妖精に魂を入れてもらった操り人 形ピノキオの冒険を描く。主題歌の「星に願いを」はディズニーを代表する名曲。

 コオロギのジミニー(クリフ・エドワーズ)は旅の途中、村の一軒の家に立ち寄る。
 そこではゼペット爺さん(クリスチャン・ラブ)が木の人形ピノキオ(ディッキー・ジョーンズ)を作って、 魂を入れてほしいと青い妖精(イヴリン・ヴェネブル)に願っているところだった。

 妖精はピノキオに魂を入れて、コオロギのジミニーにピノキオの良心の監視役になるよう言いつける。

 学校に通い始めたピノキオは、キツネのジョン(ウォルター・キャトレット)に騙されて、人形芝居の一座に売り飛ばされる。 やっとの思いで妖精に助けられたピノキオだが、又もやキツネにそそのかされて、今度は極楽島で遊びほうける・・・。


   Review
 こんな見事なアニメが戦前に作られていたなんて、ほんとうにびっくりした。

 動きが滑らかなこと、色が美しいこと、なによりピノキオやゼペット爺さん、コオロギのジミニ―をはじめ、腹黒いキツネや操り人形一座の親方など、 登場人物たちの表情の豊かさに驚かされる。小さな子供たちが見たら、これだ けでもう、わくわく嬉しくなっちゃうんじゃないかな。

 操り人形たちが一斉にピノキオの前で踊り出すシーンの精緻な動きなんて、ただもう、見とれるばかり。ディズニーのアニメの凄さを今さらに思い知った感じだ。

 ところでストーリーだけど、私はほんとうはピノキオの話をよく知らないんだ、ということに今さらに気づいた。

 コオロギや性悪キツネが出てきたり、ピノキオが嘘をついたり我が侭をいったりすると、(罰として) 木の鼻がピューッと延びるとか、 最後は改心して (といういい方は好かんけど) いい子になったら、ご褒美に妖精にほんものの人間の子供にしてもらったとか・・・。

 まー、漠然とそんな感じ。それで知ってるつもりになってたから、えー、なんで? と戸惑うことが多い。
 たとえば、ゼペット爺さんはピノキオが学校に行く時にどうして一緒にいってあげないの? いきなり1人は無理でしょ。 コオロギのジミニ―は、キツネのジョンがピノキオを連れてっちゃうのに気づくのが遅すぎよ〜。

 極楽島で子供たちがロバになっちゃうのは、誰かが魔法をかけたの? 遊びほうけた罰というのは分かるとして、 子供たちを馬車で運んでったあの男が妖術使いなのかしらん、・・・と次々疑問符が出て来る。

 それに、ピノキオがビリヤードをしたり葉巻をプカプカふかすのはどうかな。もとのお話がそうなんだろうか。もっと子供らしい悪戯にしてほしい。 見ていてあんまりいい気持ちがしないもの。

 ゼペット爺さんが鯨のお腹の中にいたのにもびっくりした。ピノキオを心配して、夜の町を探し回っていたはずなのに・・・。 いつ、どういう訳で、そんなことになっちゃったんだろう。

 それでも、大きな鯨の腹の中でマグロを釣ったり、焚き火の煙でくしゃみをさせて鯨から脱出したり、のエピソードはとても楽しい。 アニメの見事さに存分に引き込まれた。

 説教くさいストーリーはさすがに今の時代感覺にはマッチしないと思うけど、テーマ曲の「星に願いを」はかけ値なしの名曲ですね。 ゼペット爺さんの無私の愛やピノキオの素直な心が伝わってきて、しみじみいい曲だと思う。
  【◎△×】6

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