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コリーナ、コリーナ


1994年  アメリカ  113分

監督
ジェシー・ネルソン

出演
ウーピー・ゴールドバーグ
レイ・リオッタ
ティナ・マジョリーノ
ウェンディ・クルーソン
ジェニファー・ルイス
ラリー・ミラー

   Story
 母親を失ったショックで口を利かなくなった少女が、陽気な家政婦との交流で心を開いてゆく様子を描いたファミ リー・ドラマ。

 7歳のモリー(ティナ・マジョリーノ)は、母親が亡くなったショックから口を利かなくなり、父親のマニー(レイ・リオッタ)は途方に暮れる。

 CM作曲家のマニーは、仕事に出ている間の家事一般とモリーの世話をしてくれる家政婦を探し、面接で黒人女性のコリーナ(ウーピー・ゴールドバーグ)を採用する。
 陽気で機転のきくコリーナは、持ち前の明るさで次第にモリーの心を開いていく。

 一方、仕事に行き詰まっていたマニーは、音楽に豊かな感性を持つコリーナの言葉で新しい境地のCM制作に成功する。
 心を通わせていく3人だが、マニーは上司のシド(ラリー・ミラー)、コリーナは姉のジェヴィナ(ジェニファー・ルイス)からそれぞれ交際相手を紹介され・・・。


   Review
 ケーブルTVが始まってすぐの頃何の気なしに見た映画だったけれど、ウーピー・ゴールドバーグの陽気な中にも意外に繊細な個性が印象に残り、頭の隅に引っかかっていた。
 久しぶりの再見。わーびっくり、ウーピーってずいぶん細かったのね! これならレイ・リオッタとちょっといいムードになってもあんまりヘンじゃないな〜。

 映画冒頭で、母親を亡くした7歳の少女モリーのことを、大人たちが「小さいからすぐ忘れる」とかいうシーンがあるけれど、それは大きな間違いだ。 子供には子供の、大人が推し量れない心の深さや巾がある。
 本作はモリーがどのように “ママが突然いなくなった” という怒りと悲しみから立ち直っていくのかを、彼女の心に 寄り添いながら描いていく。

 父親マニーに扮するのは若き日のレイ・リオッタ。
 目にちょっと憂いを含んで、彼がどれほど亡き妻を愛していたか、心を閉ざし、口まで利かなくなった娘をどれほど心配しているか、がしみじみ伝わってくる。

 マニーが家政婦を雇うために面接するシーンが面白い。
 次から次に現れる応募者たちのペラペラまくしたてる自己PRを見ているだけで、「あー、こういう人に家事や子供の世話はまかせられないな・・・」という気分になるのだ。

 そんなところに面接を受けにやってくるのがウーピー扮するコリーナだ。 タバコをプカプカふかし、庭先でいきなり出会ったモリーに「口を利かないんだってね。仕事がラクでいいわ」なんていう。
 モリーはさぞ面食らっただろうけど、子供って大人の偽善に鋭いとこがあるから、変に慰めやおためごかしをいわないコリーナに、真実を感じたんじゃないのかな・・・。

 必ずしも順調とはいえなかった面接の後、コリーナは帰りがてに、庭木のオレンジをもぎってポンとモリーに投げる。 思わずモリーが両手で受ける。そんな様子を窓からじっと見つめるマニー。
 彼はこの時、娘とこのちょっと変わった黒人女性があうんの呼吸で通じ合うのを感じたのかもしれない。3人の微妙な気持ちの行き交いが印象的だ。 こうしてコリーナは家政婦に採用される。

 コリーナとモリーが車で買い物にでかけるシーンがとても好き。コリーナが口を利かないモリーとコミュニケーシ ョンを取る方法を思いついたり (「イエス」の時は自分の鼻先をちょんちょんと叩く)、赤信号を “魔法の力” で青に変えたり・・・。

 “魔法” というのはこうだ。信号にフーッ! と息を吐きかける。カン、音がして信号は赤から青に変わる。 ニンマリ、得意顔のコリーナ。内心驚いてるクセにムッとした顔のモリー。

 カン、赤が青に。カン、赤が青に。「息が切れたわ。手伝ってくれる?」 半信半疑でそっと息を吹くモリー。カン、赤が青に。
 「やった! あなたも魔法の力を持ってるのね」とコリーナ、嬉しそうなモリー。わ〜、コリーナってまるでメリー・ポピンズみたい。

 CM作曲家のマニーが仕事に行き詰まると、コリーナの音楽の才能が思わぬ手助けになったり、コリーナの姉が「白人男性とのロマンスは傷つくだけ」とコリーナを心配したり、 マニーに再婚相手が現われたり、いろいろサブストーリーが変化を与えて、飽きさせない。

 コリーナには心を開いたものの、まだ学校には行けないモリーの登校拒否を隠していたことがマニーにバレて、激怒したマニーはコリーナを解雇してしまう。
 ところがこれは隠し味がだったのだ。雇用関係ではなく、対等の個人としての付き合いがこれから始まることを暗示して、映画は終わるからだ。ほんわりいい余韻が残った。
  【◎△×】7

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