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荒野の七人/真昼の決闘


1972年  アメリカ  98分

監督
ジョージ・マッコーワン

出演
リー・ヴァン・クリーフ
マイケル・カラン
エド・ローター
ジェームズ・B・シッキング
ペドロ・アルメンダリスJr.
ルーク・アスキュー
ウィリアム・ラッキング
ステファニー・パワーズ

   Story
 『荒野の七人』シリーズの4作目にして最終作。国境の小さな村を野盗の集団から守るために7人の男たちが闘う。クリス役はリー・ヴァン・クリーフが務める。

 流れ者のガンマン、クリス(リー・ヴァン・クリーフ)も今では南部の小さな町に落ち着き、保安官をしている。

 ある日、彼の伝記を書きたいという新聞記者ノア・フォーブス(マイケル・カラン)から取材の申し込みを受ける。

 そんな中、旧知のジム・マッケイがクリスに助けを求めて来る。国境の小さな村が山賊にたびたび襲われ困っているというのだ。

 今は結婚もし落ち着いた暮らしをしているクリスはジムの頼みを断るが、思わぬ事件が起こり、妻が殺される。
 ノアとともに犯人を追ううちジムの死を知ったクリスは、ついに村を守るために立ち上がる・・・。


   Review
 「原点帰り」に大幅な「新味」が加わり、シリーズ最終作らしい仕上がりになった。
 まず「原点帰り」の部分だけれど、クリスたち7人が守るのは “野盗に襲われた寒村”。あまり手を広げず、これくらいがやっぱり “荒野の七人” にはふさわしい。

 次に「新味」の部分だけれど、これはもうてんこ盛りの賑やかさだ。なんとクリスは南部のある町の保安官になっていて、おまけに結婚までしている。
 演じるのはリー・ヴァン・クリーフ、『夕陽のガンマン』(65) の賞金稼ぎが痺れるほどかっこよかった。 彼に結婚なんて似合わない。それだけに、よほどの女性と運命の出会いをしたんだな〜、なんて想像したりして・・・。

 その愛妻が殺されたのがクリスが立ち上がるきっかけになるのだから、やっぱり重要なポイントだ。

 仲間を集めるプロセスをはしょって、監獄から囚人を一気に5人連れて来るのには笑ってしまったけど、 シリーズが重なってくると一々手順を踏むのもちょっとだれてくる。こんな集め方も時には面白い。

 州知事の許可を取って、といういうのがツボだ。札付きのならず者たちだけに、逃亡、裏切り、仲間割れ、といろいろ気は許せない。
 そこは、仕事を成し遂げた暁には知事の釈放許可証を渡す、とちゃんと釘を刺してある。

 そんな彼らが村に残された女・子供を守るために力を合わせて頑張るうちに、これまでと違うハリややり甲斐を感じ始めるのがいかにもありそうで、共感を覚えた。

 2つ目は村の男たちは野盗に全員殺され、残っているのは女子供たちだけというところ。女たちも動員して野盗と闘う準備をするのが新鮮だ。
 布袋を縫って土を詰める土嚢(どのう)作りはまだしも、細腕を奮ってシャベルで穴を掘ったり杭を打ち込んだり、 銃撃戦ともなると溝に隠れて (頭だけチョッコリのぞいているのがユーモラス) 男たちの銃に弾を詰めたり・・・。

 もちろんいよいよ危なくなれば、いち早く女たちは村に逃げ帰らせる。クリスの配慮に抜かりはない。

 多勢に無勢とはいえ、この銃撃戦はいろんな工夫がなされて、野盗を散々に手こずらせるのが面白い。

 クリスを中心にみなで作戦を練る場面があるけれど、じっさいに戦いが始まってはじめて、「あー、ここにこんな仕掛けがしてあったのか〜!」というのが次々に現われて、 見ていてシンプルにワクワクする。
 数と力で圧倒的に勝る相手と闘うには、知恵と工夫というわけだ。

 敵の首領を倒し、頭(かしら)を失った野盗が去った後、7人のガンマンのうち生き残ったのはクリスを含め3人。 これまでなら1人が村に残り、クリスともう1人が立ち去るのが定番だけれど、本作はクリスまでもがこの村に留まることを選択する。

 映画の序盤で、「時代は変わった」というセリフがクリスの口から出るけれど、彼自身、保安官として一度は身を固めたこともあり、 そろそろ放浪の暮らしは辛くなってきているのかも・・・。シリーズ最終作らしい結末だ。

 目が鋭く、非情クールなリー・ヴァン・クリーフのクリスは、ユル・ブリンナーとは大分個性が違うけど、それだけに印象が強くなかなか良い。 若い頃のエド・ローターを見ることが出来たのも嬉しかった。
  【◎△×】7

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