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マジック・マイク


2012年  アメリカ  110分

監督
スティーヴン・ソダーバーグ

出演
チャニング・テイタム
アレックス・ペティファー
マシュー・マコノヒー
コディ・ホーン

   Story
 男性ストリップクラブのダンサーが、さまざまな出来事を通して自身を見つめ直していくさまを、華麗なストリッ プ・ショーとともに描く。

 マイク(チャニング・テイタム)は昼は建設現場で働き、 夜はダラス(マシュー・マコノヒー)の経営する男性ストリップクラブ「エクスクイジット」のスターダンサーとして活躍している。

 彼の夢は、インテリア家具の製作・販売の事業を起こすこと。稼ぎが上々のストリップ・ダンサーはその資金を得るためだ。

 ある日、19歳のアダム(アレックス・ペティファー)と知り合い、ストリップ・ダンサーの才能を見出したマイクは、彼をクラブに連れて行く。
 たちまちのうちに人気ダンサーとなり、享楽的な生活に呑み込まれていくアダム。一方、マイクは堅実なアダムの姉(コディ・ホーン)と知り合い・・・。


   Review
 舞台に両膝を突き、上着を脱いでカメラを射るような眼差しで見つめるマジック・マイク。 裸の上半身にじかに着た皮のベストとネクタイがひどくセクシーで、PR写真を見た時は「よし、絶対見るゾ」なんて思ってたのに、なぜか公開時見逃してしまった。

 ケーブルTVで放映するのが分かって、今度こそ! とにんまり。あの男性ストリッパー役の彼、どんな美形の俳優かな、と楽しみにしていたので、 『フォックスキャッチャー』(14) のチャニング・テイタムが出てきた時は、あれれ? でした。

 いえ、テイタムがイヤなわけじゃありません、『フォックスキャッチャー』の彼は緊迫感のある演技がほんとに凄 かった。
 富豪を演じたスティーヴ・カレル、テイタムの兄に扮したマーク・ラファロ、と主役3人ががっしりスクラムを組んだ演技合戦は、 アカデミー賞を何か1つくらいは取るんじゃないかと思ったほどだった。

 ただ、テイタムって美形とはいい難い、ちょっと変った風貌で印象には残るけど・・・。スタイルもそういいとはいえないし。

 そんなこんなで、ほんとに彼? と、信じがたい気がしていたけど、舞台で踊る姿に驚いた。まさにあのPR写真のイメージそのもの! パワフルでセクシーで、 それでいてしなやか。
 こんなにストリップがうまいなんて、人は見かけによらないなぁ。

 と思ったら、テイタムは18,9歳の頃、実際に男性ダンサーをしていたことがあるのだそうだ。
 それを知ると、いつかこの業界を抜け出てひとかどの者なるぞ・・・、と心に秘めて踊っていただろうテイタムと、映画のマイクが俄然重なって見えてくる。

 マイクは昼は建設現場で堅気に働き、夜はストリップ劇場の人気ダンサーとしてチップを稼ぎ、地道に金を貯めている。 いずれ起業して、手作り家具の製作・販売を手がけたいと思っているのだ。

 それでも、自分がこの道に誘い込んだまだ年若いアダムが、誘惑に負けてドラッグがらみの多額の借金を背負った ことを知ると、コツコツ貯めた金をポンと吐き出す。

 そしてアダムの姉ブルックに「たしかな人生を掴みたい」と打ち明けて、「この仕事をしている限りは無理」といわれると、すっぱり足を洗う決心をする。

 一見自堕落なストリップの世界にいても、マイクの生き方はどこか潔い。それはテイタムのキレの良い演技にとてもよく似合う。

 男性ストリップというと、すぐ思い出すのはイギリス映画『フル・モンティ』(97) だ。
 これは素人ダンサーたちのにわか仕込みの踊りが笑いと共感を呼んだのに対して、本作はプロのストリッパーたちの踊りが次々に趣向を凝らした舞台で繰り広げられる。

 けっこう生々しい動きもあったりするけど、女性客を巻き込んだ激しい踊りは新鮮で、目を奪われる。 女性ファンたちが熱狂的にステージにチップを投げる気持ちは分かるなぁ、と思った私です。

 それにしても、ストリップクラブのオーナーに扮したマシュー・マコノヒーの芸達者ぶりには驚いた。
 本作でニ皮も三皮も向けた感じ。これが翌年の『ダラス・バイヤーズクラブ』(13) のアカデミー主演男優賞受賞につながっていったのかな、とあらためて思ったりした。
  【◎△×】6

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