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ナルニア国物語
第3章:アスラン王と魔法の島



2010年  イギリス  112分

監督
マイケル・アプテッド

出演
スキャンダー・ケインズ
ジョージー・ヘンリー
ウィル・ポールター
ベン・バーンズ
サイモン・ペッグ(声)

   Story
 C・S・ルイスの名作児童文学を映画化したファンタジー・アドベンチャー『ナルニア国物語』シリーズの第3章。
 ペベンシー兄妹とカスピアン王子がナルニアを守る7本の魔法の剣を探して、新たな冒険の旅へ乗り出していく。

 エドマンド(スキャンダー・ケインズ)とルーシー(ジョージー・ヘンリー)のペベンシー兄妹は、両親が留守の間、親戚に家に預けられる。

 ある日、壁に掛かった帆船の絵が動き出し、2人は従弟のユースチス(ウィル・ポールター)も一緒に絵の中に吸い込まれて再びナルニアの国へ・・・。

 親友のカスピアン王子(ベン・バーンズ)やネズミ戦士のリープチープ(声:サイモン・ペッグ)と再会を果たした兄妹とユースチスは、 ナルニアの東の果てへと再び冒険の旅に出る。


   Review
 前作で予告された通り、大人になった長男ピーターと長女スーザンはファンタジー世界を卒業し、本作の冒険は次男エドマンドと末っ子ルーシーが主人公だ。 もっとも、これではやや迫力不足と思ったのか、従弟のユースチスが2人の冒険に加わっている。

 このユースチスがなかなか面白い子で、エドマンドとルーシーのナルニア国の話をハナから信じず、ただの空想だ、とバカにしている。(というか、 まー普通はそうでしょうね、やっぱり。)

 子供部屋の壁の絵の中に2人と一緒に吸い込まれて、ナルニアの海に浮かぶ帆船に移動しても、まだ信じない。彼 にしたら変な夢をむりやり見させられてる気分かも。悪あがきぶりがユーモラスだ。

 エドマンドとルーシーがナルニアの服に着替えても、ユースチスだけは現代のズボンとシャツのまま。 彼がまだナルニアに同化していない、受け入れていないことの表われだ。彼がいつ着替えるのかな、と好奇心が湧く。

 前作 “第2章” は話がややバラバラの印象だったけど、本作は人間とファンタジー世界の住人がすっきり1つにまとまって、安心して楽しめた。
 なかでも、ネズミのリーピチープの活躍がめざましく、ファンタジー好きにはこたえられない。 前作ではあまりに小さくて、ややインパクトが薄かったけど、本作で見た目がウサギほどの大きさに造形されたのは大正解と思う。

 口は悪いけど根は親切で、だれに頼まれたわけでもないけれど、拗ねっこユースチスがナルニア国になじむよう、教育係を買って出る。 黄金に目が眩んでドラゴンに変身させられてしまったユースチスに最後まで付き添って、海の怪獣と闘うのもリーピチープなのだ。
 2人を見ていると、喧嘩ばかりしているけど、ほんとはとても気の合う似た者同士なのがよく分かる。

 カスピアン王子の父王がかつて7人の貴族に与えたという剣を求めて島々を巡るうちに、 闘うべき相手は、自分の心にひそむ美や権力や富に対する欲望であり、自分の弱さなのだ、という物語のテーマがだんだん明らかになってくる。
 少々説教臭いけれど、分り易いともいえる。

 ラストでは獅子王アスランが風格ある姿を見せて、子供たちの後見人の役割を果たし、リーピチープはアスランの国の住人になるため小舟を漕いで一人旅立つ。 そして、エドマンドとルーシーはナルニア国を卒業する時が来たことをアスランに告げられる。

 みんなこうして大人になって行くんだ・・・。ふっと寂しさに襲われる。

 次作はまだ子供のユースチスが主人公であることが示唆されるけれど、いまだに作られていないところを見ると、シリーズはこれで終わりなのかな・・・。

  【◎△×】6

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