HOME50音表午後の映画室 TOP




レザボア・ドッグス


1991年  アメリカ  100分

監督
クエンティン・タランティーノ

出演
ハーヴェイ・カイテル
ティム・ロス、クリス・ペン
スティーヴ・ブシェミ
マイケル・マドセン
クエンティン・タランティーノ
ローレンス・ティアニー

   Story
 宝石強盗をするために集められた6人の男が、裏切り者をめぐって疑心暗鬼に陥り、破滅していくサマを描いたバイオレンス・ドラマ。
 クエンティン・タランティーノ監督のデビュー作で、脚本の面白さがハーヴェイ・カイテルの目に留まり、タラン ティーノ自身の監督で映画化。
 世界中で大ヒットして、タランティーノは一躍スター監督の仲間入りを果たした。

 ロサンゼルスの犯罪のプロ、ジョー・カボット(ローレンス・ティアニー)は宝石強盗を計画し、悪党たち6人を呼び集める。

 ホワイト(ハーヴェイ・カイテル)、オレンジ(ティム・ロス)など色のコードネームで呼ばれ、たがいの名も知らぬ6人は、 襲撃当日、現場に待ち伏せていた警官によって、危機に陥る。裏切り者探しの非情なやり取りが始まった・・・。


   Review
 クエンティン・タランティーノ監督の出世作だし前から興味があった。予想通りなかなか面白かった。
 まず冒頭、レストランで男たちがマドンナのヒット曲 “ライク・ア・ヴァージン” を巡ってくだらないお喋りをしている。
 (普通のおじさんっぽいけどどこか) 貫禄のある初老の男が「払いは自分がする」とレシートを掴み、みんなに「チップの1ドルは出せ」という。もちろん、みな否やはない。

 と思ったら、スティーヴ・ブシェミ (扮する男) が「イヤだ」といい出す。 大してサービスしてもらってないのに、何でチップを出さなきゃいかんのか、不合理だ、というのだ。
 で彼、ゴタゴタいつまでも理屈をこねる。そのうちティム・ロス (扮する別の男) が「オレも嫌だ」と言い出す。
 たった1ドルのことでゴタクを並べる男たちが可笑しくて、プフフッと笑いそうになる。

 場面が変わると、重傷を負ったティム・ロスと介抱するハーヴェイ・カイテル (扮する男) が倉庫にたどり着く。

 「こわい」と騒ぎ立てるティム・ロス。 世話をするカイテルが弟の面倒を見る兄貴みたいにやさしくて、そこに現れたブシェミが何かとんちんかんで、それらがこれまた何ともいえず可笑しい。

 彼らはどうやら宝石強盗に失敗して、集合場所の倉庫に戻ったところらしい。 リアルタイムのストーリーはこの倉庫で展開し、時々、主要メンバーが一味に加わる過程や宝石店からの逃走場面がフラッシュバックで挿入される。 襲撃場面そのものは出てこないのが変わっている。

 そのフラッシュバック場面でまたまた笑ってしまうのが、ボスのジョーがみんなに呼び名をつける場面だ。
 ホワイトやオレンジなど色のコードネームをつけるのだけれど、ブシェミの呼び名が「ピンク」。ここでまた彼は「嫌だ」と言いだす。なんでオレだけピンクなんだ。
 うん、これは分かるナ、大の男がピンクじゃね。でもジョーはまったく取り合わない。やっぱり貫禄がある。

 こんな中で、マイケル・マドセン (扮する男) が登場すると、途端に空気が変わる。呼び名はブロンド、でもみんな彼を「サイコ」と呼ぶ。
 たしかに、捕まえた警官を椅子に縛りつけ、その前を楽しそうにステップを踏みながら行ったり来たりする様子がじつに怖い。 これから何をするつもりだろう・・・。『テルマ&ルイーズ』(91) の印象が強くて、とても同じ人とは思えない。


 そしてボスの息子エディに扮したクリス・ペン。 ぽっちゃりした体型・顔立ちのためか善人を演じることが多いけど、本作ではワルの父親を尊敬するけっこう凄みのある悪党だ。

 で、ティム・ロスは死にかかったままで床に倒れたきり。見せ場もなく話が進むので、気の毒だなと思っていたら、後半ちゃんと出番があった。 もちろん、妙に情に厚いカイテルにも。

 そして (逃走途中で死んだブラウンと生死不明のブルーを除いた) 全員が倉庫に集結したところで一気に事が進み、銃を持っていなかったブシェミだけが生き残る。 彼、何かにつけて得な役回りよね〜。

 女性が出てこないのがいっそさっぱりしている。時間軸を巧妙に出し入れした構成が新鮮で、弱冠28歳のタランティーノ監督の才気が弾け、出演陣も楽しそうだ。
  【◎△×】7

▲「上に戻る」

 


inserted by FC2 system