Story 強大な力を誇った古代ローマ帝国が、たび重なる戦乱の中で滅びゆく姿を、『エル・シド』のアンソニー・マン監 督が描いたオールスター・キャストのスペクタクル史劇。 西暦180年。強大な国力を誇るローマ帝国の皇帝マルクス・アウレリウス(アレック・ギネス)は、異民族との戦乱の日々に苦悩していた。 そんな中、病に伏せったアウレリウスは、帝位を息子コンモドゥス(クリストファー・プラマー)ではなく、軍団指揮官リヴィウス(スティーヴン・ボイド)に譲る決意をする。 しかし、直後に暗殺され、帝位に就いたコンモドゥスは暴政を振るいだす。 一方、皇女ルチラ(ソフィア・ローレン)はリヴィウスを愛していたが、父アウレリウスの意志をついで、アルメニア王ソハムス(オマー・シャリフ)と結婚する・・・。 Review ローマはなぜ滅亡したのか。といってもあれだけの強大国が一朝一夕にして滅びるはずもなく、長い歴史の流れの中で徐々に崩壊していった訳だけれど、 歴史スペクタクルが好きな私としてはこうした映画はやはり食指が動く。 3時間を超える長尺で出演陣が豪華な本作、50〜60年代に流行ったオールスター・キャストの歴史超大作の1つといえそうだ。 辺境ババリアに築城された砦の堅固で豪壮な佇まい、帝都ローマの荘厳で巨大な神殿、などなど丁寧な時代考証を踏まえたオープンセットに目を奪われる。 さらに、ババリアの砦では属領の将軍たちが大勢の兵を従えて次々に皇帝アウレリウスの謁見を賜り、ローマの神 殿前では催しごとのたびに無数の群衆が広場を埋め尽くす。 エキストラ数の凄さ! 一人一人が身に着ける衣装や装飾品まで考えると、もう、頭がクラクラしてくる。 こうした豪華さは史劇を見る楽しみの一つだ。 これに加えて『クォ・ヴァディス』(51) や『十戒』(56)、『ベン・ハー』(59) などのように人間ドラマがしっかりしていたら、もう何もいうことはないけど、 さすがにそれは贅沢というものでしょう。 本作はテンポがのろく、内容もスカスカで、ストーリーが進むほど白けてくるのが残念。 皇女ルシラをメインに持ってきたのがそもそもの計算違いだったんじゃないかな、いくら扮するのがソフィア・ローレンとはいえ・・・。 帝位を継いだ弟コンモドゥスの暴政にあきれて、「新ローマを建国する」という旗印のもとに夫のアルメニア王とともに軍を率いてローマ近郊まで迫り、 リヴィウスに加担するよう要請するのは、いくらなんでも無理がある。 こうした史劇はやはりスケールの大きい男優がドンと主役を張ったほうが納まりがいいような気がする。 でも、スティーヴン・ボイドはちょっと華が足りない感じ、クリストファー・プラマーは暴虐な悪役には線が細い気がするし・・・。 個人的には、リヴィウスとコンモドゥスが二輪車で砦からの山道をもの凄い勢いで疾駆しながら戦う場面に引き込まれた。 何度も車輪が崖からはみだし、道の防護柵はバリバリ壊され、『ベン・ハー』のチャリオット競技に匹敵する迫力だ。 この時チャールトン・ヘストンと闘ったのもスティーヴン・ボイドだったっけ。彼は恋を語るより、こうした力技の場面のほうが似合う。 終盤の、兵士たちが二段構えに盾囲いしたコートの中で、リヴィウスとコンモドゥスが闘うシーンも面白かった。 槍を相手に投げつける。武器を手放したらマズイんじゃないの、とか思っていると、さっとコーナーの槍立てに駆け寄る。 ここに3本、あらかじめ槍が用意してあるのだ。こういう戦い方ってこれまでの史劇では見たことがない。 実在のコンモドゥスも剣闘技は凄く強かったそうだけど、映画でもなかなかで、この試合はスリリングだった。 【◎○△×】6 |