Story 和月伸宏のコミックを実写化した、明治時代を舞台にした時代劇アクション。 “人斬り抜刀斎” の異名を持つ剣客・緋村剣心が流浪の旅の中で様々な出会いを重ね、新たな闘いに挑む姿を描く。 時代は幕末から明治に変わり、“人斬り抜刀斎” と恐れられた剣客・緋村剣心(佐藤 健)は「不殺(ころさず)」の誓いを立てて流浪人となっていた。 その頃、東京では抜刀斎を名乗る男(吉川 晃司)による連続人斬り事件が発生し、元・新選組隊士で今は警官の斎藤一(江口 洋介)が捜査していた。 剣心は、ニセ抜刀斎に立ち向かう神谷道場の師範代・薫(武井 咲)を助けたことから、道場に居候することになる。 一方、ニセ抜刀斎が用心棒を務める実業家・武田観柳(香川 照之)は邪悪な陰謀を企んでいた・・・。 Review 公開時ずいぶんヒットした記憶がある。タイトルが洒落ているし、どんな映画かな、とちょっと興味があった。 とはいえ予備知識は全くなし。NHKのBSで放映するというので夫と鑑賞。 話は幕末、戊辰の役から始まり、それから10年経った明治11年が本編の舞台だ。西洋近代化が始まって、往来を行き来する人たちの服装も純然たる和装ばかりではない。 そのせいか、主人公の剣心が茶色がかった長い髪をざっくり後ろで束ね、前髪は目が隠れるほど額を覆っていても、 明治の雑多な風俗の中ならこれもあり、とさほど違和感はない。 しかし、国籍不明の衣装の (中には『Vフォー・ヴェンデッタ』(05) 風の仮面をつけた男までいる) 暴力団風の男たちが現れたところで、戸惑いが生まれた、 一体これはどういう映画なんだろう・・・? そしてふと気づいた、これは人気コミックを原作にしたものなのかな、と・・・。 最近、若い人にヒットする映画には、テレビドラマやコミックが原作というのがかなり多いらしい。 そういえば、主人公の「〜〜でござる」という台詞、演じる佐藤健には申し訳ないけど、ほんとにヘタクソ。彼が「ござる」というたびにクスッと笑いそうになる。 でも原作ではそうなってるのかな・・・、そう思ったらいかにも不自然なその台詞が、だんだん可愛らしくなって来た。 華奢で目の大きい佐藤健の佇まいも、そう思うとコミックの図柄をそのまま彷彿させるところがある。原作ファンにも納得の配役かもしれない。 ストーリーは残念ながらもう1つ。吉川晃司扮するニセ人斬り抜刀斎の正体や彼の狙いは何なのかという謎が、 気がつくと香川照之扮する悪徳貿易商のアヘン製造及び明治政府転覆の陰謀話になっていて、忘れた頃にまたニセ人斬り抜刀斎が登場するという具合。 長い原作を無理にまとめてしまったためなのかな、話がアチコチしてまとまらない感じだ。 ただ頻繁に挿入されるアクションが魅力的だ。スピードがあり、俳優たちのキレのいい動きは見ていて惚れ惚れする。 とくに、終盤、ニセ人斬り抜刀斎こと鵜堂刃衛との対決で、剣心が神谷活心流の構えをするシーンは、細くしなやかな身体が優雅な決めを作ってほんとに美しい。 現実にはあり得ない構えなのだろうけど、コミック的にはサマになる。それを忠実に実写化した映像に見とれた。 勿論、その後に展開される闘いも文句なし。吉川晃司の存在感も抜群だ。これらのアクション・シーンだけでも見て損はないと思った。 【◎○△×】6 |