Story 愛妻を失い酒に溺れていた老作家が、隣家の母娘との交流を通して再生していく姿を描くヒューマン・ドラマ。 ウェスタン小説のベストセラー作家モンテ・ワイルドホーン(モーガン・フリーマン)は、 妻に先立たれてからというもの、創作意欲を失い酒浸りの日々を過ごしている。 心配した甥のヘンリー(キーナン・トンプソン)は夏の間、避暑地の湖畔にある知り合いの家を借りて、嫌がるモンテがそこで休養できるよう手配する。 知り合いの愛犬リンゴの世話をするのが条件だ。 隣にはシングルマザーのシャーロット(ヴァージニア・マドセン)が3人の娘たちと暮している。 好奇心旺盛な9歳の次女フィン(エマ・ファーマン)はモンテが作家だと知り、物語の作り方を教えて欲しいと頼む。 Review 見始めてすぐ「あれ・・・?」と思った、初老男2人の物語のはずだけど・・・。 どうやら『最高の人生の見つけ方』(07) と勘違いしたらしい。タイトルはそっくりだし、主演も同じモーガン・フリーマンだし、紛らわしい〜。 でもそのまま見続けたら、けっこう楽しくて儲けものだった。 老作家モンテは甥のヘンリーの世話で夏の間だけ湖畔の知り合いの家を借りて、引っ越してくる。 冒頭のモンテったら、ヘンリーが右といえば左、左といえば右、ととてもヘソ曲がり。 ヘンリーが一向気にせず取り合わないのが可笑しいけど、ほんとは叔父が気の好い性格なのを飲み込んでるのかも しれない。 そしてそれはすぐに分かる。 越してきた途端に近所のお葬式に招かれて(という言い方、変だけど、 ほんとにそんな感じなの)、「オレはその人のこと知らない」といくらいっても相手は聞く耳持たずのマイペース。 ・・・で、仕方なくのこのこ出かけていく。 出かけていったはいいけれど、ベストセラー作家の有名人のモンテは弔辞まで頼まれて・・・。で、結局相手の書いた弔辞を神妙に読み上げて・・・。 断りきれない好人物ぶりが微笑ましい。 お人好しぶりはまだまだ続く。 ちょっと変わり者の少年カール (軽い知的障害があるらしい)(アッシュ・クリスチャン)にその母親の頼みで電話をかけて友だちになったり、 創作に興味のある隣家の次女フィンに “想像すること” についての家庭教師を引き受けたり・・・。(フィンが貯めたお小遣いでモンテに授業料を払うのが笑ってしまう。 もちろん、モンテは後で返してあげるけど。) ・・・という具合で、愛妻を亡くして酒浸りになっている老人にしては、モンテの環境適応力はなかなか高い。 想像力を鍛える練習として「ないものを見る」という教えはフィンだけでなく夢想好きの私にも響く言葉だ。 善人ばかりが登場し、ストーリーは淡々と進んでいくけれど、それがかえってこの映画のよさに思える。 そんな中、ちょっとした山場もある。極めつけはフィンの色っぽい母親シャーロットとのロマンスだ。 はじめはモンテがちゃっかり勝手に妄想してるだけだけれど、ラストはひょっとして瓢箪から駒? の気配。 顔にシミいっぱいのフリーマンがきっちりキスシーンまでこなして楽しそう。 1つだけ文句をいうなら、モンテは昔事故に遭い、それ以来車椅子生活で左手は動かない。それなのに一軒家で一人住まい出来るのかな、というのが最後まで気になった。 掃除はしなくても暮らせるとして、食事と洗濯はやっぱり欠かせないよね、せめて家政婦くらい登場させてもよかったんじゃないかな。 口うるさくて、モンテとしょっちゅう喧嘩している、という設定でも面白かった気がする。 【◎○△×】6 |