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続・荒野の七人


1966年  アメリカ  95分

監督
バート・ケネディ

出演
ユル・ブリンナー
ロバート・フラー
エミリオ・フェルナンデス
ウォーレン・オーツ
フェルナンド・レイ
クロード・エイキンス
ジュリアン・マテオス

   Story
 『荒野の七人』の続編。クリス役のユル・ブリンナーを除いてキャストはすべて変わっている。

 メキシコのイズトラカン村。
 かつて7人のガンマンの一人として野盗たちと戦ったチコ(ジュリアン・マテオス)は、村娘と結婚し、農夫とし て貧しいながらも幸せに暮らしている。

 ある日、一帯を支配するロルカ(エミリオ・フェルナンデス)の一味に襲われ、村の男たちとともにどこかへ連れ去られてしまう。

 その頃クリス(ユル・ブリンナー)は近くの町でかつての仲間ヴィン(ロバート・フラー)と再会し、闘牛見物を楽しんでいた。

 そこにチコの危急の報がもたらされ、 クリスは、フランク(クロード・エイキンス)、コルビー(ウォーレン・オーツ)、ルイ、マヌエルら新たな仲間たちを集め、イズトラカン村に向かう。


   Review
 “柳の下にドジョウは2匹いない” の見本みたいな続編、7人を演じる俳優陣がユル・ブリンナーを残して総変わり、大幅にパワーダウンしてしまった。 知っている顔は、ウォーレン・オーツ、クロード・エイキンス、ロバート・フラー、フェルナンド・レイ、でもちょっとずつイメージが違う。

 女好きのウォーレン・オーツ、ね〜・・・。教養がなくて荒くれで、女っ気とは縁がない、それがオーツってもんでしょ。
 もっと違うのがクロード・エイキンス。顔といい体格といい、シンプルで野太くて、見るからに男臭い。過去のトラウマで自殺願望がある、っていわれてもね〜。 影のある男っていう柄じゃない、それが彼。

 テレビ西部劇『ララミー牧場』で一世を風靡(ふうび)したロバート・フラーも意外なほど生彩がない。

 フェルナンド・レイはもっと出番が用意されているのかと思った。
 もともと彼も敬虔な神父というイメージじゃないけど、腹に一物二物のしたたかな神父さんかな、そのうち策略を巡らせてクリスらとともにロルカ一味と闘うに違いない、 と期待してしまった。

 俳優陣のスケール・ダウンを補うにはストーリーに一工夫ほしいところだけど、これまたなんというか、ちょっと取りとめのない印象だ。
 まず、敵(かたき)役は前作の無法者の一団から横暴な大地主ロルカに変わり、手下を率いて近辺の村々を襲撃しては男たちをどこかに連れ去る。

 一体何のために、という謎めいた感じは悪くないけれど、クリスたちが見つけ出したその場所というのが砂漠の中に建設中の村で、 ロルカは拉致した村人たちに村や教会を作らせていたのだ。
 え〜、そんなことだったの? とここで話のトーンが大幅にダウンしてしまう。

 クリスたち7人の目的は、連れてこられた農夫たちの救出ということになるけれど、じつは一番がっくりしたの は、このロルカ一味との銃撃戦だった。

 クリスたちは教会を根城に村にこもって敵の襲来を待つだけ。で、ロルカ一味といえば、ドンパチ拳銃を鳴らしながら大挙して馬を走らせてくるだけ。 双方なんともきょくがない。

 一味は待ち伏せしたクリスたちに狙い撃ちされて馬上から転げ落ちる。
 これじゃいくら人数が多くても、そのうちいなくなりゃしない? 第一、手下たちが嫌がりはしないかな、なんてことまでつい考えてしまう。

 おまけに、先手を打とう、とこっちから出かけていったクリスたちが、まったく同じようにただもう一味の前面に無防備に走っていく。 クリスのことだから、もう少しなにか手 (作戦らしきこと) を考えるかと思ったんだけどねぇ・・・。

 ただ、窮地に陥ったクリスたちを救ったのが、甘いマスクの弱虫っ子、マヌエルというのは意外性があって面白かった。 村人を守れ、なんてかっこいいことをいわれて (本音は足手まといになるから) 留守居役をさせられたマヌエル。 彼の後ろに積まれた箱が崩れて、中からダイナマイトが転がり出た時はあれれ? と思ったけど、それがちゃんと伏線になっていたのだ。

 ストーリーの要はユル・ブリンナー、冷静沈着、さすがに前作に劣らぬ魅力があった。
  【◎○×】5

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