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【 新作映画 2015年 】

イタリアは呼んでいる


2014年  イギリス  108分

監督
マイケル・ウィンターボトム

出演
スティーヴ・クーガン
ロブ・ブライドン
クレア・キーラン
ロージー・フェルナー
マルタ・バリオ

   Story
 イギリスの人気中年コメディアン2人組がイタリアで繰り広げるグルメ旅のドタバタ珍道中を描く。
 『日蔭のふたり』『イン・ディス・ワールド』などイギリスの名匠、マイケル・ウィンターボトム監督作。

 イタリアのレストランを巡るグルメ旅の取材を依頼されたイギリスの人気コメディアンのスティーヴ(スティーヴ・クーガン)とロブ(ロブ・ブライドン)。

 ミニクーパーを走らせながら、食通の国イタリアの五つ星ホテルと絶景レストランを訪れるという夢のような話だ。

 友人で、かつ良きライバル同士の2人は、早速、ピエモンテ地方からトスカーナやローマなどに立ち寄る北から南へのイタリア縦断の旅に出る。


   Review
 ノー天気な中年男2人が勝手気ままにミニクーパーを走らせるお気楽ロード・ムービー、のつもりだったけど・・・、たしかにそうには違いないけど、 予告編に上手に騙されちゃったなぁ。
 場所は大好きなイタリアだし、美味しいグルメも堪能できそうだし、監督は私の好きなマイケル・ウィンターボトム監督だし・・・、 でも思っていたのとちょっと方向が違っていた。

 主人公たちが最初に立ち寄った北イタリアのレストラン。次々に運ばれてくる料理は大仰ではないけどいかにも美味しそうだ。
 景色を楽しみながら2人はゆっくり味わうんだろうなと思ったら、箸 (じゃなくて、フォークとスプーン) をつけ る間もなくロブが機関銃のように物まねを始めたのには驚いた。

 そもそもはスティーヴが『ミニミニ大作戦』(69) のマイケル・ケインの「吹っ飛ばすのはドアだけだ!」という台詞を物まねしたのが始まりだ。
 これにロブが対抗したわけだけど、イギリスでは有名な台詞らしい。

 その後の、ケインの声はトーンが高いとか、『ダークナイト ライジング』(12) のクリスチャン・ベールやトム・ハーディは声がこもって何を言ってるのか分からないとか・・・。 多分、イギリスではこれだけでみんな「そうそう」と頷いてしまうギャグなんでしょうね。

 つまり、イギリスネタ (アメリカも?) なのかな、と思うけど、日本人の私には可笑しくもなんともない。
 まさか全編これじゃないよね・・・、とちょっとヤバイ予感がしないではなかったけど、ほんとにその “まさか” だったのだ。
 この後も2人が国道をミニクーパーで走り、レストランで料理を前にロブが物まねを披露し、の繰り返し。

 間には適当にヨットが入ったり、女性マネージャーとカメラマンが合流したり、夜はホテルで家族とケータイやスカイプで話したり、 ロブにハリウッドからの仕事が舞い込んだり、最後はスティーヴの家族が加わったり、とそれなりの変化球が交じるとはいえ、それらの印象は浅い。

 スティーヴ・クーガンはジム・ジャームッシュ監督の『コーヒー&シガレッツ』(03) で一度見たことがあるけど、ロブ・ブライドンなる俳優 (芸人?) は初めてだ。

 ちょっとヒュー・グラント似。顔もだけど、声がよく似ている。本作で披露するヒューの物まねなんてほんと、そっくりだ。
 ポンペイの遺跡の腹話術みたいな芸は寄席で見たらきっと面白いんだろうな、とも思う。
 けどねえぇ、彼の芸を見るためにこの映画を見ているわけじゃないものねぇ・・・。

 イタリアといえば美しい景色、『ベニスで恋して』『月曜日に乾杯!』『トスカーナの休日』といくらでも思い浮かぶ旅人が出会うドラマ、そしてパスタ料理。
 スティーヴとロブがレストランに着くたびに出てくる厨房がとても魅力的だ。活気が溢れ、どんな味なのか一口食べてみたい、とそのたびに思う。

 もっと料理や景色や、そしてなにより仕事や家庭で人生の曲がり角に来ているらしい彼らをめぐるドラマが見たかったな、と思う。
  【◎△×】6

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